簿記 銀行勘定調整表の作成方法!ズレの原因と対策
「会社の帳簿残高と銀行の残高証明書の金額が違う…なぜ?」
経理担当者なら、誰もが一度は頭を抱える銀行勘定調整表。簿記を勉強中の学生さんも、「これ、一体何の意味があるの?」と思っているかもしれませんね。
銀行勘定調整表は、会社のお財布事情と銀行側の記録を照らし合わせる、とっても大切な作業なんです。でも、ズレの原因がわからなかったり、どうやって調整すればいいのか迷ったりすること、ありますよね?
この記事では、銀行勘定調整表の基本から、ズレの原因、具体的な作成方法、そしてよくある間違いまで、まるっと解説します! これを読めば、あなたも銀行勘定調整表マスターになれるはず!
こんな人に読んでほしい
この記事を読めば、銀行勘定調整表の謎が解けて、日々の業務がスムーズになること間違いなし! さあ、一緒に学んでいきましょう!
銀行勘定調整表とは?目的と重要性を解説
まずは、銀行勘定調整表の基本から見ていきましょう。
銀行勘定調整表の定義
銀行勘定調整表とは、会社側の帳簿残高と銀行側の残高証明書の残高が一致しない場合に、その原因を明らかにするための表です。
会社は、現金の出し入れを帳簿に記録していますよね。一方で、銀行も預金口座の残高を管理しています。
本来であれば、この二つの残高は一致するはずなんです。でも、実際には、時間的なズレや記録の誤りなどによって、一致しないことがよくあります。
そこで登場するのが、銀行勘定調整表! この表を使って、ズレの原因を特定し、最終的に残高を一致させることを目指します。
銀行勘定調整表の目的
銀行勘定調整表を作成する目的は、主に以下の3つです。
1. 帳簿残高の正確性の検証: 会社の帳簿が正しく記録されているかを確認します。
2. 内部統制の強化: 不正や誤謬を早期に発見し、防止するための仕組みを強化します。
3. 財務諸表の信頼性向上: 正確な残高を財務諸表に反映させることで、企業の財務状況を正しく伝えます。
つまり、銀行勘定調整表は、会社のお金の流れを正確に把握し、経営判断をサポートするための重要なツールなんです。
銀行勘定調整表の重要性
銀行勘定調整表は、単なる事務作業ではありません。企業の健全な経営を支える、非常に重要な役割を担っています。
このように、銀行勘定調整表は、企業の健全性を維持し、ステークホルダーからの信頼を得るために、非常に重要な役割を果たしているのです。
銀行勘定調整表の作成手順|ステップバイステップで解説
銀行勘定調整表の重要性は理解できたけど、「実際にどうやって作るの?」という疑問にお答えします! ここでは、銀行勘定調整表の作成手順を、ステップバイステップでわかりやすく解説します。
ステップ1:会社側の帳簿残高と銀行側の残高証明書を入手
まずは、銀行勘定調整表を作成するために必要な、以下の2つの資料を用意しましょう。
1. 会社側の帳簿残高: 現金出納帳や総勘定元帳など、会社が管理している帳簿の期末残高を確認します。
2. 銀行側の残高証明書: 銀行から発行される残高証明書の期末残高を入手します。
この2つの残高が、銀行勘定調整表の出発点となります。
ステップ2:ズレの原因を調査
次に、会社側の帳簿残高と銀行側の残高証明書の残高が一致しない原因を調査します。
ズレの原因として、一般的に以下のものが挙げられます。
これらの原因を一つずつ確認し、該当する金額を特定していきます。
ステップ3:銀行勘定調整表を作成
ズレの原因が特定できたら、いよいよ銀行勘定調整表を作成します。
銀行勘定調整表には、主に以下の2つの形式があります。
1. 銀行残高基準法: 銀行側の残高証明書の残高を基準に、会社側の帳簿残高に合わせるように調整する方法。
2. 会社残高基準法: 会社側の帳簿残高を基準に、銀行側の残高証明書の残高に合わせるように調整する方法。
どちらの形式を使っても構いませんが、一般的には銀行残高基準法がよく用いられます。
銀行残高基準法の場合、銀行勘定調整表は以下のような形式になります。
銀行勘定調整表(〇〇年〇月〇日現在)
銀行残高証明書残高 〇〇〇円
加算:時間外預入 〇〇〇円
減算:未取付小切手 〇〇〇円
調整後残高 〇〇〇円
会社帳簿残高 〇〇〇円
加算:銀行からの入金通知未達 〇〇〇円
減算:未渡小切手 〇〇〇円
銀行手数料 〇〇〇円
調整後残高 〇〇〇円
この表を作成し、それぞれの調整後残高が一致すれば、銀行勘定調整は完了です!
ステップ4:修正仕訳を行う
銀行勘定調整表を作成した結果、会社側の帳簿に誤りがあることが判明した場合(例えば、銀行手数料が未処理だった場合など)は、修正仕訳を行う必要があります。
例えば、銀行手数料100円が未処理だった場合は、以下のような仕訳を行います。
(借方)支払手数料 100円
(貸方)現金預金 100円
このように、修正仕訳を行うことで、会社の帳簿残高を正しく修正することができます。
ズレの原因を徹底解説|未渡小切手、未取付小切手など
銀行勘定調整表を作成する上で、ズレの原因を特定することが最も重要なポイントです。ここでは、主なズレの原因について、詳しく解説していきます。
未渡小切手
未渡小切手とは、会社が取引先などに小切手を振り出したものの、まだ受取人に渡っていない状態の小切手のことです。
会社は小切手を振り出した時点で、帳簿上は現金が減少したと記録しますが、受取人が銀行に小切手を持ち込んで換金するまでは、銀行側の残高は変動しません。
そのため、未渡小切手の金額は、会社側の帳簿残高から減算されますが、銀行側の残高証明書には反映されないため、ズレの原因となります。
未取付小切手
未取付小切手とは、受取人が銀行に小切手を持ち込んだものの、まだ会社側の口座から引き落とされていない状態の小切手のことです。
受取人が銀行に小切手を持ち込んでも、すぐに会社側の口座から引き落とされるわけではありません。銀行側の処理に時間がかかる場合や、受取人がまだ換金手続きをしていない場合などがあります。
未取付小切手の金額は、銀行側の残高証明書から減算されますが、会社側の帳簿にはすでに記録されているため、ズレの原因となります。
時間外預入
時間外預入とは、銀行の営業時間外に預け入れた現金のことで、銀行側の残高証明書に反映されるのが翌営業日以降になるものを指します。
会社は現金を預け入れた時点で、帳簿上は現金が増加したと記録しますが、銀行側の処理が翌営業日以降になるため、時間外預入の金額は、会社側の帳簿残高には反映されますが、銀行側の残高証明書には反映されないため、ズレの原因となります。
銀行手数料
銀行手数料とは、口座維持手数料や振込手数料など、銀行が口座に対して徴収する手数料のことです。
銀行は手数料を徴収した時点で、会社の預金口座から自動的に引き落としますが、会社側の帳簿に記録されるまでにはタイムラグが生じることがあります。
銀行手数料の金額は、銀行側の残高証明書には反映されますが、会社側の帳簿にまだ記録されていないため、ズレの原因となります。
誤記
誤記とは、会社または銀行が、金額を誤って記録してしまったことです。
例えば、会社が1,000円の入金を10,000円と誤って記録してしまった場合や、銀行が振込金額を誤って処理してしまった場合などが考えられます。
誤記は、銀行勘定調整表を作成する上で最も厄介な原因の一つです。誤記を発見するためには、帳簿と残高証明書を照らし合わせ、金額に相違がないか細かく確認する必要があります。
【事例付き】銀行勘定調整表の作成例
ここでは、具体的な事例を通して、銀行勘定調整表の作成方法を解説します。
事例1:未渡小切手がある場合
A社は、取引先B社に10,000円の小切手を振り出しましたが、まだB社に渡していません。A社の帳簿残高は100,000円、銀行側の残高証明書残高は110,000円です。
この場合、銀行勘定調整表は以下のようになります。
銀行勘定調整表(〇〇年〇月〇日現在)
銀行残高証明書残高 110,000円
調整後残高 110,000円
会社帳簿残高 100,000円
減算:未渡小切手 10,000円
調整後残高 100,000円
事例2:未取付小切手がある場合
C社は、取引先D社から受け取った5,000円の小切手を銀行に預け入れましたが、まだC社の口座に入金されていません。C社の帳簿残高は50,000円、銀行側の残高証明書残高は45,000円です。
この場合、銀行勘定調整表は以下のようになります。
銀行勘定調整表(〇〇年〇月〇日現在)
銀行残高証明書残高 45,000円
加算:未取付小切手 5,000円
調整後残高 50,000円
会社帳簿残高 50,000円
調整後残高 50,000円
事例3:銀行手数料が未処理の場合
E社は、銀行から口座維持手数料500円が引き落とされましたが、まだE社の帳簿に記録されていません。E社の帳簿残高は200,000円、銀行側の残高証明書残高は199,500円です。
この場合、銀行勘定調整表は以下のようになります。
銀行勘定調整表(〇〇年〇月〇日現在)
銀行残高証明書残高 199,500円
調整後残高 199,500円
会社帳簿残高 200,000円
減算:銀行手数料 500円
調整後残高 199,500円
これらの事例のように、銀行勘定調整表を作成することで、ズレの原因を特定し、帳簿残高を正しく修正することができます。
銀行勘定調整表の作成でよくある間違いと対策
銀行勘定調整表の作成は、一見簡単そうに見えますが、意外と間違いやすいポイントがあります。ここでは、銀行勘定調整表の作成でよくある間違いとその対策について解説します。
残高の転記ミス
最も多い間違いの一つが、帳簿残高や残高証明書の残高を転記する際のミスです。
特に、桁数の多い金額を転記する際には、注意が必要です。
対策:
原因の特定漏れ
ズレの原因を特定する際に、見落としや勘違いによって、原因を特定できない場合があります。
対策:
修正仕訳の誤り
銀行勘定調整表を作成した結果、修正仕訳が必要になった場合、仕訳の内容を誤ってしまうことがあります。
例えば、銀行手数料を未処理だった場合に、借方と貸方を逆に仕訳してしまうなどです。
対策:
会計ソフトでの銀行勘定調整表の作成方法
最近では、多くの会計ソフトに銀行勘定調整表を作成する機能が搭載されています。会計ソフトを活用することで、手作業によるミスを減らし、効率的に銀行勘定調整を行うことができます。
会計ソフトの機能紹介
会計ソフトには、以下のような銀行勘定調整機能が搭載されています。
具体的な操作手順
会計ソフトによって操作方法は異なりますが、一般的には以下のような手順で銀行勘定調整表を作成します。
1. 会計ソフトにログインし、銀行勘定調整機能を選択します。
2. 対象となる銀行口座と期間を選択します。
3. 銀行の取引明細データを取り込みます(自動取り込みまたは手動入力)。
4. 会計ソフトが自動で帳簿残高と銀行残高を照合し、ズレの原因を特定します。
5. 必要に応じて、手動で調整仕訳を追加します。
6. 銀行勘定調整表を作成します。
注意点
会計ソフトを活用する際には、以下の点に注意しましょう。
まとめ|銀行勘定調整表を正しく理解し、正確な会計処理を
この記事では、銀行勘定調整表の基本から、作成手順、ズレの原因、よくある間違い、会計ソフトでの作成方法まで、幅広く解説しました。
銀行勘定調整表の重要性
銀行勘定調整表は、企業の財務状況を正確に把握し、不正を防止するための重要なツールです。
継続的な学習の必要性
会計に関する知識は、常に変化しています。銀行勘定調整表に関する知識も、継続的に学習していくことが大切です。
この記事が、あなたの銀行勘定調整表に関する理解を深め、日々の業務に役立つことを願っています。
もし、この記事を読んでもまだ疑問が残る場合は、税理士や会計士などの専門家に相談することをおすすめします。専門家のアドバイスを受けることで、より正確な会計処理を行うことができます。