建設業で元請になるには？必要な資格と要件

建設業で元請になるには？【ステップバイステップガイド】

「いつかは独立して、自分の裁量で仕事を進めたい！」
「下請けばかりで、利益がなかなか上がらない…」

建設業で下請けとして働く皆さん、そう思ったことはありませんか？元請けになれば、より大きな仕事に挑戦でき、収益アップも夢ではありません。

でも、

「元請けって、どうやったらなれるの？」
「必要な資格とか、許可とか、難しそう…」

そう感じている方も多いはず。

この記事では、建設業で元請けになるために必要なステップを、初心者にも分かりやすく解説します。必要な資格、許可の種類、手続き、費用、そして成功の秘訣まで、余すところなくお伝えします！

元請と下請の違いとは？（役割、責任、リスク）

元請と下請、言葉はよく聞くけど、具体的に何が違うのか？まずは、それぞれの役割、責任、リスクを明確にしましょう。

元請：

役割： 建設プロジェクト全体の責任者。顧客との契約、設計、施工管理、下請業者への発注など、プロジェクト全体を統括します。

責任： プロジェクトの品質、安全、工期、予算など、すべての責任を負います。

リスク： プロジェクトの遅延、品質問題、事故など、様々なリスクを負います。

下請：

役割： 元請から依頼された工事を、専門的な技術や知識を活かして実行します。

責任： 担当する工事の品質、安全、工期について責任を負います。

リスク： 元請の経営状況やプロジェクトの状況に左右されるリスクがあります。

つまり、元請はプロジェクト全体をマネジメントする責任者、下請はその一部を専門的に担当する協力者という関係です。

元請になるメリット・デメリット（収益性、リスク、責任）

元請になることは、大きなチャンスであると同時に、大きな責任を伴います。メリットとデメリットをしっかり理解しておきましょう。

メリット：

収益性アップ： 下請けに比べて、より高い利益率を確保できます。

裁量権の拡大： 自分のアイデアや技術を活かして、自由にプロジェクトを進められます。

顧客との直接的な関係構築： 顧客との信頼関係を築き、長期的なビジネスにつなげられます。

事業規模の拡大： より大きなプロジェクトに挑戦し、事業規模を拡大できます。

技術力・ノウハウの蓄積： 多様なプロジェクトを経験することで、技術力やノウハウが蓄積されます。

デメリット：

高い責任： プロジェクト全体の責任を負うため、プレッシャーが大きくなります。

リスクの増大： プロジェクトの遅延、品質問題、事故など、様々なリスクを負います。

資金繰りの負担： 下請業者への支払いなど、資金繰りの負担が大きくなります。

事務作業の増加： 契約、請求、支払いなど、事務作業が増加します。

人材育成の必要性： プロジェクトを管理できる人材を育成する必要があります。

元請を目指す前に確認すべきこと（経営状況、技術力、人材）

元請になるためには、しっかりとした準備が必要です。以下の３つのポイントを確認しましょう。

1. 経営状況の確認：

十分な資金力があるか？

安定した収益を上げているか？

財務状況は健全か？

元請は、下請業者への支払いなど、資金繰りの負担が大きくなります。十分な資金力がないと、経営が立ち行かなくなる可能性があります。
2. 技術力の確認：

高度な技術や知識を持っているか？

多様な工事に対応できるか？

品質管理体制は整っているか？

元請は、プロジェクト全体の品質を保証する責任があります。高度な技術や知識がないと、顧客の信頼を失う可能性があります。
3. 人材の確認：

プロジェクトを管理できる人材がいるか？

現場を監督できる人材がいるか？

事務作業をこなせる人材がいるか？

元請は、プロジェクトを円滑に進めるために、様々なスキルを持った人材が必要です。人材が不足していると、プロジェクトが遅延したり、品質が低下したりする可能性があります。

元請に必須！建設業許可の種類と取得要件

元請として建設業を営むためには、建設業許可が必要不可欠です。許可の種類と取得要件について詳しく見ていきましょう。

建設業許可の種類（一般建設業許可、特定建設業許可）

建設業許可には、「一般建設業許可」と「特定建設業許可」の2種類があります。

一般建設業許可：

下請に出す金額の合計が4,500万円未満の工事を請け負う場合に必要です。

ほとんどの元請業者は、一般建設業許可を取得しています。

特定建設業許可：

下請に出す金額の合計が4,500万円以上の工事を請け負う場合に必要です。

大規模な工事を請け負う場合に必要となります。

どちらの許可が必要かは、請け負う工事の規模によって異なります。

建設業許可の取得要件（経営業務管理責任者、専任技術者、財産的基礎）

建設業許可を取得するためには、以下の3つの要件を満たす必要があります。

1. 経営業務管理責任者：

建設業の経営経験がある人を配置する必要があります。

具体的には、建設業の役員として5年以上の経験、または建設業以外の役員として7年以上の経験が必要です。

2. 専任技術者：

一定の資格や実務経験を持つ技術者を、営業所ごとに配置する必要があります。

資格の種類や実務経験の年数は、建設業の種類によって異なります。

3. 財産的基礎：

自己資本が500万円以上あること、または500万円以上の資金調達能力があることを証明する必要があります。

これらの要件を満たすことが、建設業許可取得の第一歩です。

建設業許可を取得するための手続きと費用

建設業許可を取得するための手続きは、都道府県によって異なりますが、一般的には以下の流れになります。

1. 申請書類の作成：

申請書、経営業務管理責任者の証明書類、専任技術者の証明書類、財産的基礎の証明書類など、必要な書類を準備します。

2. 申請書類の提出：

申請書類を、営業所の所在地を管轄する都道府県知事または国土交通大臣に提出します。

3. 審査：

提出された書類に基づいて、審査が行われます。

4. 許可：

審査に合格すると、建設業許可が交付されます。

建設業許可を取得するための費用は、登録免許税や申請手数料などを含めて、数万円程度です。

経営業務管理責任者とは？【要件と具体的な業務内容】

建設業許可の取得要件の一つである「経営業務管理責任者」。一体どんな役割を担うのでしょうか？

経営業務管理責任者の要件（経営経験、役員経験）

経営業務管理責任者になるためには、以下のいずれかの要件を満たす必要があります。

建設業の役員としての経験：

建設業の役員（取締役、執行役、監査役など）として、5年以上の経営経験が必要です。

建設業以外の役員としての経験：

建設業以外の役員として、7年以上の経営経験が必要です。

その他：

建設業の経営業務について、国土交通大臣が認める知識または経験を有する者。

単なる役員ではなく、経営に携わった経験が重要視されます。

経営業務管理責任者の具体的な業務内容

経営業務管理責任者は、建設業の経営に関する以下の業務を、総合的に管理・執行します。

経営戦略の策定：

事業計画、目標設定、市場調査などを行います。

組織運営：

組織体制の構築、人事管理、労務管理などを行います。

財務管理：

資金調達、予算管理、会計処理などを行います。

契約管理：

顧客との契約、下請業者との契約などを行います。

リスク管理：

安全管理、品質管理、コンプライアンスなどを行います。

経営業務管理責任者は、会社の経営を担う重要な役割を担います。

経営業務管理責任者を立てられない場合の対策

経営業務管理責任者の要件を満たす人がいない場合、以下の対策を検討しましょう。

役員の育成：

役員候補者を育成し、経営経験を積ませる。

外部からの招聘：

経験豊富な経営者を外部から招聘する。

経営コンサルタントの活用：

経営コンサルタントの助言を得ながら、経営を行う。

これらの対策を講じることで、経営業務管理責任者の要件を満たすことが可能になります。

専任技術者とは？【必要な資格と実務経験】

建設業許可のもう一つの要件である「専任技術者」。その役割と必要な資格について解説します。

専任技術者の要件（国家資格、実務経験）

専任技術者になるためには、以下のいずれかの要件を満たす必要があります。

国家資格：

建設業の種類に応じて、指定された国家資格を保有している必要があります。

実務経験：

指定された学科を卒業後、3年以上の実務経験が必要です。

または、10年以上の実務経験が必要です。

資格の種類や実務経験の年数は、建設業の種類によって異なります。

専任技術者になれる国家資格一覧

専任技術者になれる国家資格は、建設業の種類によって異なります。代表的な資格は以下の通りです。

建築：

建築士（一級、二級）

建築施工管理技士（一級、二級）

土木：

土木施工管理技士（一級、二級）

技術士（建設部門、総合技術監理部門（建設））

電気：

電気工事施工管理技士（一級、二級）

電気主任技術者（一種、二種、三種）

これらの資格を取得することで、専任技術者になることができます。

専任技術者を立てられない場合の対策

専任技術者の要件を満たす人がいない場合、以下の対策を検討しましょう。

資格取得の支援：

従業員の資格取得を支援する。

経験者の採用：

経験豊富な技術者を積極的に採用する。

技術者の派遣：

技術者派遣会社から技術者を派遣してもらう。

これらの対策を講じることで、専任技術者の要件を満たすことが可能になります。

安全管理体制の構築！元請としての責任

元請として工事を請け負う場合、労働者の安全を守ることは最重要課題です。安全管理体制の構築について解説します。

労働安全衛生法に基づく安全管理体制

労働安全衛生法に基づき、元請業者は以下の安全管理体制を構築する必要があります。

安全衛生管理組織の設置：

安全管理者、衛生管理者、安全衛生推進者などを選任し、安全衛生管理組織を設置します。

安全衛生委員会の設置と運営：

労働者の意見を反映させるため、安全衛生委員会を設置し、定期的に開催します。

安全教育の実施：

労働者に対して、安全に関する教育を実施します。

作業環境の点検：

作業環境を定期的に点検し、危険な箇所を改善します。

健康診断の実施：

労働者に対して、定期的に健康診断を実施します。

これらの安全管理体制を構築することで、労働災害を防止し、安全な職場環境を実現することができます。

安全衛生委員会の設置と運営

安全衛生委員会は、労働者の意見を反映させるための重要な機関です。以下の点に注意して運営しましょう。

委員の選任：

労働者代表、安全管理者、衛生管理者など、様々な立場の委員を選任します。

定期的な開催：

月に1回以上、定期的に開催します。

議題の設定：

労働災害の防止、作業環境の改善など、安全衛生に関する議題を設定します。

議事録の作成：

議事録を作成し、委員に周知します。

安全衛生委員会を適切に運営することで、労働者の安全意識を高め、労働災害を防止することができます。

安全教育の実施と記録

労働者に対する安全教育は、労働災害を防止するための最も重要な対策の一つです。以下の点に注意して実施しましょう。

教育内容：

作業内容、作業手順、危険箇所、安全対策など、必要な知識を網羅します。

実施方法：

講義、実技、ビデオなど、様々な方法を組み合わせて実施します。

記録の作成：

教育内容、実施日時、参加者などを記録します。

安全教育を徹底することで、労働者の安全意識を高め、労働災害を防止することができます。

元請として成功するための秘訣！経営戦略と人材育成

元請として事業を成功させるためには、経営戦略と人材育成が不可欠です。

適切な下請業者選定と関係構築

元請として成功するためには、信頼できる下請業者との良好な関係が不可欠です。

選定基準：

技術力、実績、価格、安全管理体制などを総合的に評価します。

契約内容：

工事内容、工期、価格、支払い条件などを明確に定めます。

コミュニケーション：

定期的に連絡を取り合い、情報共有や意見交換を行います。

協力体制：

互いに協力し、問題解決や改善活動に取り組みます。

良好な下請業者との関係を構築することで、品質の高い工事を安定的に提供することができます。

リスク管理とコンプライアンス遵守

元請として事業を継続するためには、リスク管理とコンプライアンス遵守が不可欠です。

リスク管理：

プロジェクトのリスクを洗い出し、対策を講じます。

保険への加入や緊急時の対応策などを検討します。

コンプライアンス：

建設業法、労働安全衛生法、その他関連法規を遵守します。

不正行為や違法行為を防止するための体制を構築します。

リスク管理とコンプライアンス遵守を徹底することで、事業の安定性を高めることができます。

人材育成と技術力向上

元請として競争力を維持するためには、人材育成と技術力向上が不可欠です。

人材育成：

研修制度、資格取得支援制度などを整備します。

OJT（On-the-Job Training）を通じて、実践的なスキルを習得させます。

技術力向上：

最新技術や工法に関する情報を収集し、導入を検討します。

技術交流会や勉強会などを開催し、技術力向上を図ります。

人材育成と技術力向上に継続的に取り組むことで、競争力を高めることができます。

元請として事業を拡大するためのステップ

元請として事業を拡大するためには、積極的な戦略が必要です。

新たな事業領域への進出

既存の事業領域に加えて、新たな事業領域への進出を検討しましょう。

市場調査：

市場のニーズや競合状況を分析します。

事業計画：

目標、戦略、予算などを明確にします。

人材育成：

新たな事業に必要なスキルを持った人材を育成します。

リスク管理：

新たな事業に伴うリスクを洗い出し、対策を講じます。

新たな事業領域への進出は、事業拡大の大きなチャンスとなります。

M&Aによる事業拡大

M&A（Mergers and Acquisitions）は、事業を拡大するための有効な手段の一つです。

買収：

同業他社や関連企業を買収することで、事業規模を拡大します。

合併：

同業他社や関連企業と合併することで、経営資源を統合し、競争力を高めます。

M&Aは、短期間で事業規模を拡大できるメリットがありますが、リスクも伴います。

海外展開の可能性

海外市場への展開は、事業を大きく成長させる可能性があります。

市場調査：

海外市場のニーズや競合状況を分析します。

パートナーシップ：

現地の企業とパートナーシップを組み、事業展開を円滑に進めます。

リスク管理：

海外市場特有のリスクを洗い出し、対策を講じます。

海外展開は、大きな成長の可能性を秘めていますが、慎重な検討が必要です。

補足情報：読者からの反論、質問を想定して、ここで回答する

Q: 建設業許可を取るのは大変ですか？

A: 確かに、要件を満たす必要があるので、簡単ではありません。しかし、一つずつクリアしていけば、必ず取得できます。専門家（行政書士など）のサポートを受けるのも有効です。

Q: 元請になった後、仕事が取れるか不安です。

A: 営業活動を積極的に行いましょう。過去の実績をアピールしたり、顧客との信頼関係を築いたりすることが重要です。また、建設業に特化したマッチングサイトなどを活用するのも有効です。

Q: 下請業者とのトラブルが心配です。

A: 契約内容を明確にし、定期的なコミュニケーションを取りましょう。お互いの立場を尊重し、協力し合う姿勢が大切です。

Q: 元請として成功するために、一番重要なことは何ですか？

A: 顧客との信頼関係を築くことです。高品質な工事を提供し、誠実な対応を心がけましょう。

まとめ

建設業で元請になることは、決して簡単な道ではありません。しかし、この記事で解説したステップを着実に実行することで、夢を実現することができます。

必要な資格を取得し、許可を得て、安全管理体制を構築し、信頼できる下請業者との関係を築き、そして何よりも顧客との信頼関係を大切にしてください。

さあ、あなたも元請として、建設業の世界で新たな一歩を踏み出しましょう！