簿記:約束手形を振り出した時の仕訳を解説

簿記:約束手形を振り出した時の仕訳を解説

約束手形って、なんだか難しそう…と感じていませんか? 簿記を勉強していると、必ず出てくる「約束手形」。今回は、そんな約束手形を振り出した時の仕訳について、初心者さんにもわかりやすく解説していきます!

この記事を読めば、

  • 約束手形ってそもそも何?
  • 振り出した時の仕訳はどう書くの?
  • 仕訳の時の注意点は?
  • といった疑問がスッキリ解消! ぜひ最後まで読んで、約束手形をマスターしてくださいね!

    約束手形とは?基本を理解しよう

    約束手形の意味と役割

    約束手形とは、簡単に言うと「〇月〇日に〇〇円支払います」という約束を記載した証書のこと。将来の支払いを約束する有価証券の一種です。

    企業間の取引では、現金の代わりにこの約束手形が使われることがあります。例えば、商品を仕入れた時に、代金をすぐに支払うのではなく、後日支払うことを約束する代わりに、約束手形を振り出す、というように使われます。

    約束手形を使うことで、企業は手元の資金をすぐに減らすことなく、取引を行うことができるというメリットがあります。

    約束手形を振り出すとは?

    約束手形を「振り出す」とは、この約束手形を発行すること。つまり、「〇月〇日に〇〇円支払います」という約束をすること、と考えてください。

    約束手形を振り出した企業は、将来、約束した金額を支払う義務を負います。

    約束手形を振り出した時の仕訳

    約束手形を振り出した時の仕訳は、簿記の基本中の基本! しっかり覚えておきましょう。

    仕訳の基本:買掛金の決済

    約束手形を振り出す主な目的は、買掛金の決済です。買掛金とは、商品を仕入れた際に、まだ代金を支払っていない状態のこと。

    例えば、A社から商品を10万円で仕入れ、代金を後日、約束手形で支払うことにした場合、A社に対する買掛金が発生します。

    この買掛金を、約束手形を振り出すことで決済する、という流れになります。

    仕訳例:具体的なケーススタディ

    例:A社から商品を10万円で仕入れ、代金として約束手形を振り出した。

    この場合の仕訳は以下のようになります。

    | 勘定科目 | 金額 | 勘定科目 | 金額 |
    | :——- | :—– | :——- | :—– |
    | 買掛金 | 100,000 | 支払手形 | 100,000 |

    (買掛金)100,000 / (支払手形)100,000

    解説:

  • (買掛金)100,000:買掛金が減少したことを意味します。約束手形を振り出したことで、A社に対する買掛金がなくなったため、買掛金を減らす仕訳を行います。買掛金は負債なので、減少する場合は借方に記入します。
  • (支払手形)100,000:支払手形という新たな負債が発生したことを意味します。約束手形を振り出したことで、将来、A社に10万円を支払う義務が生じたため、支払手形という勘定科目で負債を計上します。支払手形は負債なので、発生する場合は貸方に記入します。
  • ポイント:

  • 約束手形を振り出した時は、買掛金などの負債が減少し、代わりに支払手形という新たな負債が増加する、というイメージを持つと理解しやすいでしょう。
  • 勘定科目は、状況によって変わることがあります。例えば、買掛金ではなく、未払金を決済するために約束手形を振り出した場合は、買掛金の代わりに未払金という勘定科目を使います。
  • 約束手形を受け取った時の仕訳

    約束手形を振り出した時の仕訳と合わせて、約束手形を受け取った時の仕訳も覚えておきましょう。

    仕訳の基本:売掛金の回収

    約束手形を受け取る主な目的は、売掛金の回収です。売掛金とは、商品を販売した際に、まだ代金を受け取っていない状態のこと。

    例えば、B社に商品を5万円で販売し、代金として約束手形を受け取った場合、B社に対する売掛金が発生します。

    この売掛金を、約束手形を受け取ることで回収する、という流れになります。

    仕訳例:具体的なケーススタディ

    例:B社に商品を5万円で販売し、代金として約束手形を受け取った。

    この場合の仕訳は以下のようになります。

    | 勘定科目 | 金額 | 勘定科目 | 金額 |
    | :——- | :—– | :——- | :—– |
    | 受取手形 | 50,000 | 売掛金 | 50,000 |

    (受取手形)50,000 / (売掛金)50,000

    解説:

  • (受取手形)50,000:受取手形という資産が増加したことを意味します。約束手形を受け取ったことで、将来、B社から5万円を受け取る権利を得たため、受取手形という勘定科目で資産を計上します。受取手形は資産なので、発生する場合は借方に記入します。
  • (売掛金)50,000:売掛金が減少したことを意味します。約束手形を受け取ったことで、B社に対する売掛金がなくなったため、売掛金を減らす仕訳を行います。売掛金は資産なので、減少する場合は貸方に記入します。
  • ポイント:

  • 約束手形を受け取った時は、売掛金などの資産が減少し、代わりに受取手形という新たな資産が増加する、というイメージを持つと理解しやすいでしょう。
  • 約束手形の仕訳の注意点

    約束手形の仕訳をする際には、いくつか注意すべき点があります。

    勘定科目の選択

    約束手形の仕訳で使う勘定科目は、主に「支払手形」と「受取手形」です。

  • 支払手形:約束手形を振り出した側(支払う側)が使用する勘定科目で、負債に分類されます。
  • 受取手形:約束手形を受け取った側(受け取る側)が使用する勘定科目で、資産に分類されます。
  • 状況に応じて、買掛金、売掛金、未払金、未収入金などの勘定科目も適切に使い分ける必要があります。

    満期日の管理

    約束手形には、満期日(支払い期日)が記載されています。満期日を過ぎると、手形は現金化することができます。

    満期日をきちんと管理し、忘れずに現金化の手続きを行うようにしましょう。

    不渡り時の対応

    約束手形が不渡り(支払い不能)になった場合は、特別な仕訳が必要になります。

    不渡りになった場合は、速やかに専門家(税理士など)に相談することをおすすめします。

    約束手形の仕訳:練習問題

    理解度を深めるために、練習問題を解いてみましょう。

    問題1:C社から商品を30万円で仕入れ、代金として約束手形を振り出した。

    問題2:D社に商品を8万円で販売し、代金として約束手形を受け取った。

    (解答は記事の最後に記載します)

    約束手形の仕訳:Q&A

    約束手形の仕訳について、よくある質問をまとめました。

    Q1:約束手形の仕訳が間違っているとどうなる?

    A:仕訳が間違っていると、会社の財務諸表(貸借対照表や損益計算書)に誤った情報が記載されることになります。これは、税金の計算にも影響を与える可能性があり、最悪の場合、税務調査で指摘を受けることもあります。

    Q2:約束手形の仕訳は税金に関係ある?

    A:約束手形の仕訳自体が直接税金に影響を与えるわけではありませんが、財務諸表の数字が税金の計算に影響を与えるため、間接的に税金に関係してきます。

    まとめ:約束手形をマスターしよう

    約束手形は、簿記の学習において避けて通れない重要なテーマです。

    今回の記事では、約束手形の基本的な意味から、仕訳の方法、注意点まで、幅広く解説しました。

    約束手形の重要性

    約束手形は、企業間の取引でよく使われるため、簿記の実務においても非常に重要な知識です。

    約束手形をマスターすることで、より深く簿記を理解し、実務で活かすことができるようになります。

    今後の学習に向けて

    今回の記事を参考に、さらに簿記の学習を進めていきましょう。

    簿記の知識を深めることで、会計・経理の仕事はもちろん、ビジネス全般において役立つスキルを身につけることができます。

    練習問題の解答:

    問題1: (買掛金)300,000 / (支払手形)300,000

    問題2: (受取手形)80,000 / (売掛金)80,000